妊娠中から悩まされた【むくみ】が出産直後は更に悪化しているという声を良く耳にします。
中には
- 足の甲まで腫れている
- 足だけではなく顔や手もむくむ
- 筋肉が攣って痛みがある
そんな悩みをこの記事では解決に導いていきます。
原因など、ここで知ったことをお友達に教えてあげてください。
目次
私の足はどう?むくみチェック方法
病院での検査でも使用される簡単なセルフチェックをご紹介します。
- 足のスネの骨に沿って内側や外側を指で10秒間押します。
- 指を離し、5秒待ちます。
5秒経過しても指の凹みの跡が残っていたら【むくみ】の状態である可能性が高いです。
他にも、足の甲の骨やアキレス腱が見ずらいという方もむくみの可能性があります。
ただし、むくみの症状が生活習慣によるものも多くあり、産後での原因でない場合もありますので、どの様な時にむくんでいるかよく観察してみるとよいでしょう。
そもそもむくみって何?からだのしくみ
体内には約66%の水分が存在します。水分は血液やリンパ液などの体液となり、体内を循環します。皮膚の下にも水分が蓄えられその水分は体温調節に役立っています。
むくみとは【浮腫】(ふしゅ)といいます。
体内では血管から細胞へ水分の入れ替えが絶えず起こり循環しています。
むくみは、何らかの原因で水分量のバランスが崩れ皮膚の下(皮下組織)の細胞間の水分量が増えてしまった状態のことです。
特に足がむくみやすいのは、心臓より低い位置にある身体の部位だからですね。
産後、足がむくむと起こる症状
私が産後骨盤矯正の患者さんからよく聞くお話は
- ゾウの足みたいに足の甲までパンパンになる
- 少し動いただけで足が攣る
- 夜だけでなく1日中むくんでいる
- 冷たく冷えて痛い
- 足だけでなく顔や手もむくむ
などです。
むくまない方もいるようですが、ほとんどの方が1度はつらい経験をされているようです。
産後のむくみはどうして起こる?
①体内の水分量、血液量の変化
妊娠中はママの血液からお腹の赤ちゃんに栄養を送ります。
そのためママの体内の血液量は通常の約30~50%程増加しています。
出産時、破水により羊水などの水分を多く失うことで更に身体が水分をため込もうとしてむくみやすくなります。
他にも
- 出産時の出血で血液量が低下する。
- 母乳は血液から作られるので授乳により血液量が低下する。
これらの理由でも水分をため込もうとしてむくみやすくなります。
② ホルモンバランスの乱れ
女性ホルモンである『エストロゲン』と『プロゲステロン』というホルモンが出産時に急激に減少することにより、ホルモンバランスの乱れによってむくみになりやすくなります。
③ 出産時、骨盤内のリンパ損傷
赤ちゃんの頭は頭囲33cmとかなり大きく、出産時に赤ちゃんの頭が産道を通過する際に骨盤内にあるリンパ節を圧迫しながら通ります。その際にリンパ損傷が起こります。
- 双子の出産
- 高体重の大きい赤ちゃんの出産
- 分娩が長引く出産
これらは特に骨盤内のリンパ説を圧迫してしまうので損傷してむくみやすくなります。
④ 睡眠不足やストレス
赤ちゃんの夜間授乳でしっかり睡眠をとることが難しくなります。
1日の疲労を寝ているときに回復しますが、こまめに起きることと、授乳などで同じ姿勢をすることが多くなることで血流が悪くなり、むくみやすくなります。
⑤ 筋肉疲労
育児や家事で同じ姿勢を長時間とることが多く、また、赤ちゃんが泣き止まない場合は立ち続けてふくらはぎや太ももの筋肉が収縮運動をうまく行うことができず、抹消の血液や水分を中枢に返す力が弱くなり、むくみやすくなります。
むくみはいつからいつまで?
むくみのピークと言われているのは出産2日~5日後ほどで、そこから徐々に元に戻っていきます。
ほとんどの場合、1ヶ月検診までにむくみの症状が落ち着いていますが、個人差はあります。
もし長引いて心配なようでしたら医師に相談しても良いでしょう。
ただ、上記に記載の通り様々なむくみの原因が考えられるので、自身で解決できるむくみの原因はできるだけ解決しておくと良いですね。
更に帝王切開の場合は自然分娩と比べ、傷口に痛みが出たりと安静にする期間が長いので、より運動不足になりむくみやすい傾向にあります。
気を付けるべきむくみ
下肢静脈瘤や血栓症を患っている方はむくみやすくなっています。
特徴としては血行が悪くなっている片方だけむくみが出ることです。
むくんでいるからと言ってむやみにマッサージなど、血流がよくなる状態にすると危険ですので早めに医師に相談しましょう。
簡単むくみセルフケア&気を付けること
①塩分の過剰摂取に注意
むくみは体内の塩分(ナトリウム)とカリウムのバランスが崩れると起こります。
味の濃い食品が食べたくなる気持ちもわかりますが母乳のことも頭に入れておきましょう。
インスタント食品など、塩分の多いものは控え、カリウムを多く含む食品、
- バナナ
- かぼちゃ
- ほうれん草
- さつまいも
などを意識して摂取するようにしましょう。
バナナはエネルギー補給としても手軽に食べれるのでお菓子よりもバナナをかじりましょう。
②着圧ソックス
着圧ソックスは寝ている間も効果があるアイテムです。
圧迫力がかかった部位は血圧が高くなり通常より血流が促進されます。
そのため足にたまった水分がしっかり循環してむくみを改善してくれます。
注意事項として、ソックスを吐くことによって痛みやしびれが現れた場合は逆に締め付けが強く血行不良になっている可能性がありますので使用をやめましょう。
③脚を高くして寝転がる
足は体内の水分が下にたまって中枢に戻れない状態です。
特に長時間の立位や座位は筋肉が運動しないためむくみが起こりやすくなってしみます。
仰向けに寝転がる際に心臓より高い位置に足が上がるように、クッションや枕などで脚を高くして、重力で水分を戻してあげましょう。
脚を上げる時間は5~10分できると理想です。
④無理なく体を動かす
産褥期を過ぎ、外出ができるようになったら散歩することをおすすめします。
近所の家の周りを、赤ちゃんを抱きながら1周するだけで構いません。
外の空気で気分転換になりストレス解消になりますし、赤ちゃんも日光を浴びてビタミンDが活性化されます。
しかし、必要以上に張り切って歩きすぎるとふくらはぎに筋疲労がたまり、逆にむくむ可能性がありますので、5分から~10分程度にとどめましょう。
⑤ストレッチやマッサージ
特に効果的なストレッチと、簡単なマッサージをご紹介します。
《ストレッチ》
お家の段差に足の土踏まずの中心が来るように立ちます。
壁などにつかまり倒れないようバランスを取り両足のかかとに重心をかけます。
このストレッチなら抱っこ紐で赤ちゃんを抱いたまま行うことができます。
段差がない場合は乗っても壊れないバランスのとれる踏み台などがあると良いですね。
ストレッチボードという商品はまさにその代表的なアイテムです。
《マッサージ》
椅子や床に座りマッサージする足を反対側の足にあぐらを組むように乗せます。
親指と人差し指で挟むように足を両手でつかみます。
かかと側からゆっくり3秒ほどかけてゆっくり押しながら上へ揉みます。
マッサージは抹消から中枢に向かってゆっくり揉みあげましょう。
手でマッサージするのが疲れる場合は、【筋膜ローラー】や【ストレッチポール】も有効です。
⑥足湯
産褥期は湯船につかることができないため十分に体を温めリラックスすることができません。
そこで足湯です。
桶に気持ちよく感じる温度でお湯を張り足を入れましょう。出来ればふくらはぎまで入る大き目のバケツがあると良いです。
10分程度で筋肉の緊張も解け、血行促進されむくみも解消されます。
当院で産後のむくみが解消された患者様の声
ストレッチは妊娠中から始めていましたが、教えていただいた抱っこしながら立ってできるストレッチは暇があればやっています。とても良い感じです。
(30代後半、0歳6か月)
こどもが産まれてすぐ受診したので段階的に体操やストレッチなどを教えてもらい、妊娠前より体重が落ちてとても嬉しいです。
(20代後半 0歳9か月)
足のむくみの原因が水分量だとわかり、水のとり方、塩分とカリウムのバランスを教えてもらいました。
意識的に水分はとらないといけないと実感できました。
(20代後半 0歳4か月)
まとめ
産後でのむくみの原因はたくさんあります。
ストレス、疲れ、睡眠不足など、生活していくうえでパートナーの協力が必要なこともありますので家族で解決できると良いですね。
食事や運動は自分でコントロールできる部分ですので、うまく時間を作れるように心がけましょう。
この記事で少しでも多くの産後ママさんのむくみの解消につながると嬉しいです。