産後から発症する腰痛はよく感じることがあると思います。
実際に育児や家事での動きで負担が多くかかる部位は腰ですからね。
しかし、腰以外にも痛みが発症する部位は多く存在します。
今回は産後に発症する【腰以外】の症状、特に【膝の痛み】の原因から予防、改善法までご紹介いたします。
腰痛に関しての記事は【産後の腰痛に悩めるママへ!原因からセルフケアまで!】をご覧ください。
目次
産後でひざを痛める原因はこの動き!
赤ちゃんをあやしたり、喜ばせようと、身体を大きく動かしてしまいがちです。
その中でもNGな動きを4選ご紹介します。
- 赤ちゃんをあやす際に、立って膝をバネに小刻みに上下する
→この動きは、間違ったフォームで細かくスクワットをしているのと同じで、太もも前面の筋肉が緊張してしまいます。
正しくは、お家の中でゆっくり歩き、歩く際の揺れを与えるようにあやすことです。 - 赤ちゃんをあやす際に、立って大きく横に揺れる
→この動きは、全体重を片脚に乗せる動きで、太もも側面の筋肉が緊張してしまいます。
正しくは、上記同様 - 赤ちゃんを抱きながら良かれと思ってスクワットする
→ほとんどのママさんが正しいフォームを知らずになんとなくスクワットしていることが多いため、太もも前面の筋肉が緊張してしまします。
正しいスクワットは太ももの裏に刺激が多く入ります - 赤ちゃんを抱く際に、身体から離れた位置で抱え立ち上がる
→体から離れた位置で赤ちゃんほどの重量を持ち上げ、立ち上がる時には、バランスが不安定になり、より太もも前面の筋肉に負荷がかかり緊張してしまします。
正しくは、赤ちゃんを胸に前でしっかり抱いてから立ち上がるようにしましょう。
膝の痛みは骨盤から?筋肉から?
『産後での膝の痛みは骨盤の歪みが原因です。』
ほとんどの整体院や整骨院ではこのように診断されることが多いですよね。
確かに骨盤の歪みが原因での膝の痛みはゼロではありませんが、実際に当院に受診される患者様のほとんどが骨盤の歪みではなく、【大腿四頭筋の筋力低下及び、筋緊張】が原因です。
特に産後の【膝の痛み】であれば
骨盤の歪み ではなく 膝回りの筋肉 を疑いましょう。
産後で良く出る膝の痛み3選
大腿四頭筋緊張による牽引
そもそも大腿四頭筋とは
太ももの前側にある
- 大腿直筋
- 内側広筋
- 外側広筋
- 中間広筋
この4つの筋肉の総称のことです。
主に膝関節の伸展(膝を伸ばす)時に働く筋肉です。
これらの筋肉は体を動かす際にとても重要な筋肉で、とても大きい筋肉なのですが、妊娠中や入院中などで安静にしている期間が長いことや、妊娠時に骨盤を広げる女性ホルモンであるリラキシンの作用によって徐々に筋力低下に陥ります。
筋力低下に伴い筋肉は萎縮し、緊張を生むことになるのです。
その筋肉の状態で赤ちゃん抱っこしてあやすさいに、膝を小刻みに曲げながら揺れることでより太ももの前側に筋緊張が生まれます。
大腿四頭筋は、骨盤にある【下前腸骨棘】という部位から【膝蓋骨】(膝のお皿)及び【脛骨粗面】(すね上部の出っ張った部分)に付着します。
基本的に産後ママの膝の痛みが出る部位は、お皿の上か下にあります。
筋肉を輪ゴムのようなゴムだとイメージしてください。
通常は伸縮するゴムも、状態が悪くなれば固くなり無理やり伸ばすと切れてしまいますよね。
筋肉も同じで、固くなれば切れます。いわゆる肉離れです。(大腿四頭筋が切れることは稀です)
切れなくても、付着している下前腸骨棘、膝蓋骨、脛骨粗面にはとても強い牽引力(引っ張る力)が加わるため、痛みが出るということは引っ張られる力に耐えられなくなっているということです。
大腿膝蓋関節症(だいたいしつがいかんせつしょう)
次いで痛みが出る部位は【大腿膝蓋関節】(お皿の中)です。
先ほどの原理で固くなった筋肉は膝蓋骨を中に押し付けます。
押し付けられた骨は大腿骨(太ももの骨)とぶつかり擦れやすくなり痛みが生じます。
これを【大腿膝蓋関節症】といい、症状が悪化すると炎症を起こし膝に水が溜まる場合があります。
運動不足を解消しようとスクワットを間違ったフォームで行い、負担をかけると良く起こる症状です。
腸脛靭帯炎(ちょうけいじんたいえん)
その次に多い症状は【腸脛靭帯炎】です。
そもそも腸脛靭帯というのは、太ももの外側に位置する、大殿筋、大腿筋膜張筋からつながる靭帯です。
上記で紹介した、赤ちゃんをあやす際に小刻みに揺れる動きを頻発すると、大腿筋膜張筋に負担がかかり固く緊張し腸脛靭帯を牽引します。
牽引されながら固くなった靭帯は、大腿骨下部の外側に突出している大腿骨外顆に擦れて炎症を引き起こし、痛みを生じます。
赤ちゃんをあやす際に横に揺れる動きが強いとより強い症状になります。
膝の痛み改善ストレッチ
大腿四頭筋のストレッチを3つご紹介します。
自分に合った、継続しやすいストレッチを1つ行いましょう。
膝の痛み改善ストレッチストレッチその①
- 長座で座り、身体の後方に両手もしくは両肘を床に着けます。
- 足がお尻の横に位置するように左ひざを曲げ、足の裏を上に向けます。
- 左すねが浮かない程度に重心を後方に移動させストレッチします。
- 20秒を3回程度両足交互に行いましょう。
膝の痛み改善ストレッチストレッチその②
- つま先を寝かせたまま膝立ちをします。
- 股関節が曲がらないようにお腹に力をいれて後方に体を倒します。
- 太ももの前面が伸び過ぎない程度にストレッチします。
- 5秒を5回程度行いましょう。
膝の痛み改善ストレッチストレッチその③
- うつ伏せに寝ます。
- 左膝を曲げ、左足を左手でつかみます。
- かかとをおしりに近づけるように足を手で引き寄せストレッチします。
- 10秒を3回程度両足交互に行いましょう。
【要注意】膝関節の痛みチェック
上記以外で痛みのポイントがある、ストレッチで痛みが改善しない場合は【膝関節】に原因があるかもしれません。
女性の体の構造上、男性よりも関節が緩く構成されているので、関節の噛み合わせが悪くなる場合があり、痛みを生じることがあります。
膝の痛みが関節かどうかを調べる簡単なチェック方法がありますのでご紹介します。
- 膝を立てて座ります。
- 立てた膝と逆の手の親指と人差し指の間で、お皿の下を掴みます。
- お皿の下の延長線上に膝関節の隙間があるので、親指と人差し指でくぼみを探します。
- 痛みが抑えた指に位置すれば関節での不具合を疑えます。
膝関節に痛みがある場合、放っておくと後々日常生活においていたるところで痛みが出る可能性がありますので、必ず近所の接骨院、整骨院、または整形外科を受診しましょう。
まとめ
産後の膝の痛みは、日常生活動作の中に原因が潜んでいます。
痛みが出る前に、自分が行っている育児の動きや姿勢を振り返り、原因があるか探してみましょう。
楽しく育児を行うためにも体の不調を限りなく減らしたいですね!少しでも解決のサポートになれば幸いです。